春先や秋口に、くしゃみや鼻水、目のかゆみで仕事や家事に集中できない……。そんなつらい症状を引き起こす「花粉症」について、正しく理解し、適切な対策を行いましょう。
花粉症は、私たちの体がスギやヒノキなどの花粉を「異物(抗原)」と判断し、それらを排除しようとして起こる免疫の過剰反応です。
・仕組み: 体内に花粉が入ると、それに対抗する「抗体」が作られます。
・発症: その後、再び花粉が体内に入った際、抗体が反応して「ヒスタミン」などの化学物質を放出します。
・症状: この化学物質が、鼻や目の粘膜を刺激することで、くしゃみや鼻水といった症状が現れます。
「アレルギー」とは、本来体を守るはずの免疫機能が、自分自身にとって不都合な(つらい)症状を引き起こしてしまう状態を指します。
花粉症の症状は、鼻や目だけでなく全身に及ぶことがあります。
鼻 :くしゃみ(連発する)、水のような鼻汁、鼻づまり、鼻のかゆみ
眼 :目のかゆみ、充血、涙が出る、ゴロゴロする違和感
のど:のどのかゆみ、イガイガする違和感、乾いた咳、のどの渇き
皮膚:花粉皮膚炎(顔や首まわりのかゆみ、赤み、乾燥)
その他:身体の重だるさ(倦怠感)、頭痛、微熱、集中力の低下

薬物療法と並行して、「体に入れる花粉の量を減らす」ことが症状緩和の近道です。
・外出時の装備: マスクや花粉ガードメガネを着用し、ウールなどの毛羽立った素材ではなく、ポリエステル等の表面がつるつるした服装を選びましょう。
・家の中に持ち込まない: 帰宅時は玄関前で衣服に付いた花粉をしっかり払い、すぐに手洗い・うがい・洗顔を行いましょう。
・室内環境の整備: 換気は窓を小さく開けて短時間にし、空気清浄機を活用しましょう。
・洗濯物の工夫: 花粉飛散シーズンは外干しを避け、室内干しや衣類乾燥機を活用するのが理想的です。

当院では、患者さんのライフスタイルや症状の重さに合わせて、以下のようなお薬を組み合わせて処方します。
1.内服薬
・ケミカルメディエーター遊離抑制薬:アレルギー反応を引き起こす物質(ヒスタミン等)が放出されるのを元から抑えます。
・抗ヒスタミン薬: 最も一般的に使われる薬です。放出されたヒスタミンの働きをブロックし、くしゃみや鼻水を素早く抑えます。
・ロイコトリエン受容体拮抗薬: 鼻の粘膜の腫れを抑えるため、特に「鼻づまり」が強い方に有効です。
・Th2サイトカイン阻害薬: 免疫反応の司令塔に働きかけ、アレルギー反応の連鎖を抑えます。
2.外用薬(点鼻・点眼)
・鼻噴霧用ステロイド薬: 鼻粘膜の炎症を強力に抑えます。現在は副作用が少なく効果の高いものが主流です。
・点眼薬: 目のかゆみや充血がひどい場合に処方します。
3.重症の方
症状が非常に強く、従来の内服薬で十分な効果が得られない場合は、抗IgE抗体療法(注射薬)などの選択肢もあります。
治療の主軸となる「抗ヒスタミン薬」ですが、いくつかの注意点があります。
・眠気と集中力の低下: ヒスタミンには本来、脳を覚醒させたり、学習・記憶を司る働きがあります。これをブロックすることで、眠気や「インペアード・パフォーマンス(自覚のない集中力低下)」が起こることがあります。
・日常生活への影響: お薬の種類によっては、車の運転や機械操作、受験勉強などに影響が出る場合があります。
「自分は何のアレルギーなのか?」「スギだけだと思っていたら、実はヒノキやイネ科も持っていた」というケースは少なくありません。当院では、採血のみで手軽に行えるアレルギー血液検査を実施しています。
〇なぜ検査が必要なのですか?
花粉症だと思っていても、実はハウスダストやダニが原因の「通年性アレルギー性鼻炎」である可能性もあります。原因(アレルゲン)を正確に知ることで、花粉が飛散し始める前から対策を立てたり、日常生活で避けるべきものを特定したりできるようになります。
〇当院の検査の特徴
・一度の採血でOK: 腕からの採血のみで完了します。皮膚を傷つける検査(プリックテスト等)に比べて、お子様や忙しい方でも受けやすいのが特徴です。
・View39(主要39項目のセット): 一度の採血で、日本人に多い39項目のアレルゲン(スギ・ヒノキ・ブタクサなどの花粉、ダニ、カビ、犬・猫、主要な食べ物など)を網羅的に調べられる検査パッケージをご用意しています。
・定量的でわかりやすい結果: 各項目に対して「どれくらい強く反応しているか」が数値(クラス0〜6)で出るため、ご自身の重症度を客観的に把握できます。
〇検査のタイミングと費用
・タイミング: すでに症状が出ている時はもちろん、「自分にアレルギーがあるか調べておきたい」という症状がない時期でも検査可能です。
・結果のお渡し: 通常、検査から約1週間程度で結果をご説明できます。
・費用: 医師が必要と判断した場合は健康保険が適用されます。3割負担の方で、View39の場合、診察料含め5,000円〜6,000円程度が目安です(詳細はお問い合わせください)。
★こんな方におすすめです
・毎年決まった時期に鼻水・目のかゆみが出る方
・特定の場所(公園や古い建物など)に行くと咳が出る方
・ペットを飼い始めた、または飼う予定のある方
花粉症の治療は、花粉が飛び始める直前から開始する「初期療法」が非常に効果的です。毎年つらい思いをされている方は、症状が軽いうち、あるいは症状が出る前にぜひ一度ご相談ください。