はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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胆石症

胆石症(胆石)とは?症状や原因、検査・治療法について詳しく解説

 お腹の痛みや健康診断の結果で「胆石(たんせき)」と言われ、不安を感じていませんか? 胆石症は、日本人の約10人に1人が持っていると言われるほど身近な病気です。ここでは、胆石ができる原因や特徴的な症状、最新の治療法、そして日常生活での注意点について、専門的な内容をわかりやすく解説します。

●胆石症とはどのような病気ですか?

 肝臓で作られる消化液である胆汁(たんじゅう)が流れる通り道を胆道といいます。この胆道の中に、胆汁の成分が固まって石のようなものができてしまう病気が胆石症です。
胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける役割を持っています。通常は液体ですが、成分のバランスが崩れると結晶化し、それが大きくなって石になります。胆石にはいくつかの種類がありますが、場所や成分によって以下のように分類されます。

胆石ができる場所による分類

・胆嚢(たんのう)結石 胆汁を一時的に溜めておく袋である胆嚢にできる石です。胆石症全体の約80%と最も多くを占めます。一般的に「胆石」と呼ばれる場合はこれを指すことが多いです。
・胆管(たんかん)結石 胆汁が流れる管である胆管にできる石です。全体の約20%を占めます。
・肝内(かんない)結石 肝臓の中にある胆管にできる石です。全体の約2%と比較的稀なケースです。

胆石の成分による分類

 日本人に最も多いのは、脂質の一種であるコレステロールが固まったコレステロール結石で、全体の約80%を占めます。その他、ビリルビンやカルシウムなどが主成分の色素結石などがあります。

●どのような人が胆石になりやすいのでしょうか?

 かつては日本人に少ない病気でしたが、食生活の欧米化に伴い年々増加傾向にあります。現在では日本人の約10%が胆石を持っているとされています。
胆石ができやすい人の特徴として、英語の頭文字をとった「5F」と呼ばれる要素が有名です。
・40代(Forty):加齢とともにリスクが上がります
・女性(Female):男性に比べて約2倍多いとされています
・肥満(Fat):コレステロールの増加が影響します
・白人(Fair):肌の色が白い人種に多い傾向があります(日本人にも当てはまります)
・多産婦(Fertile):妊娠回数が多い女性はホルモンバランスの影響を受けやすいためです

 これらに加え、糖尿病の方、脂質異常症(高コレステロール血症)の方、急激なダイエットを行った方なども注意が必要です。また、遺伝的な体質も関係していると言われています。

●胆石症になると、どのような症状が出ますか?

 胆石があるからといって、必ずしもすぐに症状が出るわけではありません。実は、胆石を持っている人の2〜3割は、一生無症状のまま過ごすとも言われています(無症状胆石)。
しかし、石が動いて胆嚢の出口や胆管に詰まると、激しい症状が現れます。

〇代表的な症状

・右肋骨の下あたり(右季肋部)や、みぞおちの激しい痛み
・右肩や背中に響くような痛み(放散痛)
・吐き気や嘔吐

これらの症状は、特に脂っこい食事をとった後(食後)や夜間に突然起こることが多いのが特徴です。これを「胆石発作」と呼びます。

〇注意が必要な危険なサイン

胆石によって胆汁の流れがせき止められ、そこに細菌感染が起こると重症化します。
・皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
・震えを伴う高熱
・意識がもうろうとする

 このような症状が出た場合、「急性胆嚢炎」や「急性胆管炎」を発症している可能性があります。放置すると細菌が全身に回る「敗血症」となり命に関わることもあるため、速やかに医療機関を受診してください。

●どのような検査で診断しますか?

 腹痛や黄疸などの症状がある場合、あるいは健康診断で指摘された場合、まずは身体への負担が少ない検査から行い、必要に応じて詳しい検査を追加します。

〇血液検査

 肝臓の数値(AST, ALT, ALP, γ-GTP)や炎症反応(CRP, 白血球数)、黄疸の数値(ビリルビン)などを確認し、炎症の程度や胆汁の流れが悪くなっていないかを調べます。

〇腹部超音波検査(エコー検査)

 胆嚢結石の診断に最も有用な検査です。ゼリーを塗ってお腹に機械をあてるだけなので、痛みや放射線の被曝もなく、外来ですぐに行えます。石の有無だけでなく、胆嚢の壁が厚くなっていないか(炎症の有無)も観察できます。

〇CT検査・MRI検査

 超音波検査で見えにくい場所にある石や、周囲の臓器への影響、胆管の詳しい形などを調べるために行います。特にMRIを用いたMRCPという検査は、胆管や膵管の状態を詳しく映し出すことができます。

〇内視鏡検査

 胃カメラのように口から内視鏡を入れ、胆管の出口を観察したり造影剤を入れたりする検査です。診断だけでなく、そのまま石を取り除く治療を行うこともあります。

どのような治療法がありますか?

治療方針は、症状の有無や石のある場所によって大きく異なります。

〇胆嚢結石の治療

1.経過観察 症状がなく、偶然見つかった胆石の場合は、直ちに治療をする必要はありません。定期的に超音波検査などを行い、変化がないかを確認していきます。
2.手術療法(胆嚢摘出術) 一度でも痛みや発作などの症状が出た場合は、手術が推奨されます。「石だけを取ることはできないの?」とよく質問をいただきますが、石だけを取り除いても胆嚢が石を作りやすい状態になっているため、再発する可能性が非常に高いのです。そのため、胆嚢ごと摘出する手術が基本となります。
3.腹腔鏡下胆嚢摘出術:現在、第一選択となる手術です。お腹に小さな穴を数カ所開けてカメラと器具を入れて行います。傷が小さく、術後の痛みも少ないため、入院期間は数日程度で済みます。
4.開腹手術:過去に受けたお腹の手術による癒着が強い場合や、炎症がひどく腹腔鏡では危険と判断された場合は、お腹を大きく切る手術に切り替えることがあります。
5.その他の治療(薬物療法・衝撃波) 飲み薬で石を溶かす方法や、体外から衝撃波を当てて石を砕く方法もあります。しかし、効果が出る石の種類が限られているうえ、治療に時間がかかり、治療後に再発する率も高いため、現在では行われるケースは限定的です。

〇胆管結石の治療

 胆管結石は、無症状であっても放置すると胆管炎や膵炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクが高いため、原則として治療が必要です。 現在は、内視鏡を使って口から器具を入れ、お腹を切らずに石を取り除く治療が主流です。状況に応じて手術が必要になることもあります。

再発することはありますか?また手術後の生活は?

〇胆嚢結石の場合

 手術で胆嚢を取り除いてしまえば、胆嚢結石が再発することはありません。 胆嚢を取った後、「消化に影響はないのですか?」と心配されることがありますが、胆汁は肝臓で作られているため、消化機能に大きな支障が出ることはほとんどありません。 ただし、稀に手術後も腹痛や下痢などが続くことがあり、「胆嚢摘出後症候群」と呼ばれます。また、胆管など別の場所に新たな石ができる可能性はゼロではありません。

〇胆管結石・肝内結石の場合

 胆管結石は治療後も再発することがあります。特に胆嚢が残っている場合、胆嚢内の石が落ちてきて再発することがあるため、胆嚢摘出もあわせて検討されることがあります。 肝内結石は治療が難しく、再発を繰り返しやすいのが特徴です。炎症を繰り返すと肝臓の機能が低下して肝硬変になったり、肝内胆管がんのリスクが高まったりするため、症状がなくても定期的な通院と検査が非常に重要です。

予防するために日常生活で気をつけることは?

 胆石症は生活習慣と深く関連しています。以下の点に注意することで、発症や発作のリスクを下げることが期待できます。

・規則正しい食生活 食事を抜くと、胆嚢の中に古い胆汁が長く留まることになり、石ができやすくなります。特に朝食をしっかりとり、1日3食規則正しく食べることで、胆汁を定期的に流すことが大切です。
・バランスのとれた食事 コレステロールの多い食事や、脂肪分の摂りすぎに注意しましょう。野菜、海藻、きのこ類などの食物繊維を積極的に摂ることも有効です。ただし、極端な脂質制限も胆汁の流れを悪くするため、良質な油を適度に摂ることを心がけてください。
・適正体重の維持 肥満は大きなリスクですが、急激なダイエットもまた胆石のリスクを高めます。適度な運動を取り入れ、健康的なペースで体重を管理しましょう。

 少しでも気になる症状がある場合は、我慢せずに消化器内科や外科の専門医にご相談ください。早期に適切な診断と治療を受けることが、健康な生活を取り戻す近道です。

医師からのアドバイス:次にどうすればいいですか?

現在のあなたの状況に合わせて、以下のように行動することをお勧めします。

・「無症状だが胆石があると言われた」方 緊急性はありませんが、年に1回は腹部超音波検査を受け、石の大きさや数に変化がないかチェックしましょう。
・「食後にみぞおちや右脇腹が痛むことがある」方 胆石発作の可能性があります。痛みが治まっても放置せず、一度詳しく検査を受けてください。
・「現在、激しい痛みや発熱がある」方 急性胆嚢炎や胆管炎の可能性があります。夜間や休日であっても、救急外来の受診を検討してください。