はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

MENU

CLOSE

はら内科医院

肺炎球菌ワクチン

高齢者の肺炎予防と肺炎球菌ワクチンについて

 日本人の死因の上位を占める肺炎。決して他人事ではなく、特にご高齢の方にとっては命に関わる重大な病気です。 当院では、日々の健康を守るための大切な手段として、肺炎球菌ワクチンの接種を推奨しています。なぜ今、予防が必要なのか、ワクチンにはどのような効果があるのかを詳しく解説します。

●なぜ、肺炎の予防がこれほど大切なのか

 肺炎は、風邪をこじらせた程度のものと思われがちですが、実際は日本人の死因で常に上位に入る恐ろしい病気です。特に以下の3つの理由から、65歳以上の方には積極的な予防対策が求められています。

1. 肺炎で亡くなる方のほとんどが高齢者です

 厚生労働省の統計によると、肺炎によって亡くなる方の約97~98%が65歳以上の高齢者です。若くて体力があるうちは治る病気であっても、年齢を重ねると重症化しやすく、命を落とすリスクが格段に高まります。

2. 加齢とともにリスクは高まります

 年齢が上がれば上がるほど、肺炎による死亡リスクは上昇します。体力や免疫力が少しずつ低下していく中で、肺炎は身体にとって非常に大きな負担となります。

3. 症状が急激に進むことがあります

 高齢者の肺炎は、発熱や咳といった典型的な症状が出にくいことがあります。「なんとなく元気がない」「食欲がない」といった様子で経過し、気づいた時には重症化しているケースも少なくありません。発症後の進行が早いため、かかる前の予防が何よりも重要です。

●どうして肺炎になってしまうのか

〇身近に潜む原因菌

 肺炎の原因となる細菌やウイルスは、実は特別な場所にいるわけではありません。私たちの口の中や鼻の中、そして日常生活のあらゆる場所に存在しています。 元気な時は身体の防御機能が働き、これらの菌を排除できます。しかし、高齢になったり、糖尿病や心臓病などの持病があったり、あるいは風邪をひいて体力が落ちている時には、免疫力が低下し、細菌の侵入を許してしまいます。

〇誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスク

 高齢者の肺炎で特に多いのが、食べ物や唾液などが誤って気管に入ってしまうことで起こる誤嚥性肺炎です。口の中の細菌が肺に入り込むことで炎症を起こします。飲み込む力(嚥下機能)が弱くなると、このリスクはさらに高まります。

●今日からできる3つの肺炎予防策

肺炎を防ぐためには、以下の3つの柱を意識して生活することが大切です。

① 細菌やウイルスの侵入を防ぐ(日常の感染対策)

まずは原因となる菌を体に入れないことが基本です。
・マスクの着用:飛沫感染を防ぎます。
・手洗い・うがい:外から持ち帰った菌を洗い流します。
・口腔ケア(歯磨き):口の中を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎の予防に非常に効果的です。歯科での定期検診もおすすめします。

② 免疫力を強化する(身体づくり)

細菌に負けない身体を作ります。
・規則正しい生活と十分な睡眠をとる。
・栄養バランスの取れた食事を心がける。
・禁煙する(タバコは肺の防御機能を破壊します)。
・持病(糖尿病や高血圧など)の治療をしっかりと続ける。

③ 予防接種を受ける(医療による防御)

自分の免疫力だけでは防ぎきれない部分を、ワクチンで補います。
・肺炎球菌ワクチン
・インフルエンザワクチン
・新型コロナウイルスワクチン

●予防接種が重要な理由

〇肺炎球菌ワクチンの役割

 肺炎の原因となる細菌は様々ですが、その中で最も多い原因菌が肺炎球菌です。成人の肺炎の約2割から3割はこの菌が原因と言われています。 肺炎球菌ワクチンを接種することで、この菌による肺炎を予防するだけでなく、もし感染しても重症化を防ぐ効果が期待できます。

〇インフルエンザワクチンとの併用効果

 インフルエンザにかかると、喉や気管支が炎症を起こし、肺の防御機能が低下します。そこへ細菌が二次感染し、肺炎を合併することがよくあります(インフルエンザ肺炎)。 そのため、インフルエンザワクチンでインフルエンザ自体を防ぐことが、結果として肺炎の予防にもつながります。医師の間でも、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの両方を接種することが強く推奨されています。

●肺炎球菌ワクチンの接種をご検討の方へ

〇接種後の副反応について

 ワクチン接種後、注射した部位が赤くなったり、腫れたり、痛んだりすることがあります。また、微熱やだるさが出ることもあります。 これらは免疫が作られる過程で起こる正常な反応であることが多く、通常は数日で自然に治まります。もし高熱が続いたり、腫れがひどい場合は、速やかに当院までご連絡ください。

〇定期接種と費用について

 現在、65歳の高齢者を対象とした定期接種が行われています。対象となる年度の方(主に65歳の方、または60歳から64歳で特定の疾患をお持ちの方)は、自治体から費用の一部助成を受けられる場合があります。 お手元に自治体からのお知らせや予診票が届いている場合は、ご持参ください。

💉肺炎球菌ワクチンの比較(費用は自費接種の場合)

ワクチン名


接種回数


効果の特徴


費用(税込)


ニューモバックス(PPSV23)
(定期接種対象)
5年以上あけて再接種 ・23種類の菌に対応(最も多い)
・効果は5年ほどで弱まるため、追加接種が必要
・免疫の持続はやや短め
8,800円
プレベナー20(PCV20) 1回のみでOK ・20種類に対応
・結合型ワクチンで、免疫が長持ちしやすい
・すでに広く使われている実績あり
13,200円
キャップバックス(PCV21) 1回のみでOK ・21種類に対応(成人に多い菌型を広くカバー)
・「結合型ワクチン」で免疫が長く続きやすい
・新しく登場した成人用ワクチン
15,400円

医師からのメッセージ

 肺炎は、予防できる病気になりつつあります。 「自分はまだ元気だから大丈夫」と過信せず、年齢や体調に合わせて適切な予防策をとることが、健康寿命を延ばすことにつながります。 ワクチンの接種時期や、今の体調で受けても良いかなど、ご不明な点は診察室でお気軽にご相談ください。あなたの健康を守るために、私たちがサポートいたします。