はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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高血圧

知っておきたい「高血圧」のこと 〜未来の自分のために〜

 健康診断で「血圧が高め」と言われたことはありませんか? 高血圧は、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、つい放置してしまいがちです。しかし、そのままにしておくと将来的に大きな病気を引き起こす原因となります。 正しい知識を持ち、早めに対策を始めることが、あなたとご家族の笑顔を守ることにつながります。

●そもそも「血圧」とは何でしょうか?

 血圧とは、心臓から送り出された血液が血管(動脈)を通るとき、「血管の壁を押す力」のことです。よく庭の水撒きホースに例えられます。水をたくさん流したり、ホースを指でつまんで細くしたりすると、ホースの壁にかかる水圧が高くなりますよね。これと同じことが体の中で起きているのが高血圧の状態です。
血圧には「上」と「下」の2つの数値があります。
・上の血圧(収縮期血圧): 心臓がギュッと縮んで、勢いよく血液を送り出すときの、一番高い圧力です。
・下の血圧(拡張期血圧): 心臓が広がって、血液を溜め込んでいるときの、一番低い圧力です。

どちらの数値が高い場合でも、血管には負担がかかっています。

●血圧が高いとどうなるの?(サイレントキラーの正体)

 高血圧の最大の問題点は、「自覚症状がほとんどない」ことです。そのため、高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれています。

1. 血管へのダメージと動脈硬化

 常に高い圧力がかかり続けると、血管の壁は傷つき、その修復のために壁が厚く硬くなっていきます。これが動脈硬化です。ホースが古くなって硬くなり、弾力を失う様子を想像してください。硬くなった血管は、さらに血圧を高くするという悪循環を招きます。

2. 脳や心臓への重大な影響

 動脈硬化が進行すると、ある日突然、命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。
・脳の病気: 血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」など。
・心臓の病気: 心臓の筋肉への血流が悪くなる「狭心症」、血管が詰まる「心筋梗塞」、心臓が疲れ果てる「心不全」など。
・腎臓の病気: 腎臓の働きが悪くなる「慢性腎臓病(CKD)」や「腎不全」。

3. 「死の四重奏」によるリスク増大

 高血圧に加えて、糖尿病脂質異常症(高脂血症)肥満といった他の生活習慣病を併せ持っていると、動脈硬化の進行スピードは加速します。これら4つが揃った状態は「死の四重奏」と呼ばれ、心筋梗塞や脳卒中による死亡率が跳ね上がることがわかっています。

●高血圧の原因は?遺伝だけではありません

 「親が高血圧だから仕方がない」と思っていませんか? 確かに遺伝的な体質も関係しますが、実はそれ以上に日々の生活習慣(環境要因)が大きく影響しています。
【主な原因となる生活習慣】
・塩分の摂りすぎ(日本人の高血圧の最大の原因です)
肥満、運動不足
・アルコールの飲み過ぎ
・喫煙
・ストレス、睡眠不足
つまり、生活習慣を見直すことで、高血圧は予防でき、また改善することも十分に可能なのです。

●治療の目的は?

血圧をコントロールすることで血管を守り、脳卒中や心筋梗塞といった将来の怖い病気(合併症)を防ぐこと。そして、あなたが元気で長生きできるようにすることです。
治療を進める上でのポイントは2つあります。
・生活習慣の改善(必須): お薬を飲んでいるかどうかに関わらず、食事や運動の見直しは治療の土台となります。
・お薬による治療: 生活習慣を変えても血圧が下がらない場合は、お薬の力を借ります。

●今日からできる!血圧を下げるためのアクション

〇食事療法 〜まずは「減塩」から〜
日本人は塩分を摂りすぎる傾向にあります。まずは1日6g未満を目指して減塩を意識しましょう。
・麺類の汁は残す。
・しょうゆやソースはかけるのではなく小皿にとってつける。
・野菜や果物(カリウムを含む食品)を積極的に摂る(※腎臓病の方は医師に相談してください)。
・食べすぎを防ぎ、適正体重を維持する。

〇運動療法 〜「ややきつい」と感じる程度で〜
ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動が効果的です。
・できれば毎日30分以上、または週180分以上を目安に。
・「会話ができるけれど、少し息が弾む」程度の強さが理想です。
※心臓病などの持病がある方は、必ず医師に相談してから始めてください。

〇その他の生活習慣
・禁煙: タバコは血管を収縮させ、動脈硬化を急速に進めます。
・節酒: アルコールは適量を守りましょう。
・家庭血圧の測定: 病院だけでなく、自宅でリラックスしている時の血圧(家庭血圧)を測り、記録することが非常に重要です。

●降圧薬(お薬)について

 「一度飲み始めたら一生やめられないのでは?」と不安に思う方も多いですが、生活習慣の改善で血圧が安定すれば、薬を減らしたり中止したりできることもあります。
降圧薬にはさまざまな種類があります。
・体内の余分な塩分(ナトリウム)と水分を排出するもの
・血管を広げて血液の流れを良くするもの
・血圧を上げるホルモンの働きを抑えるもの など
患者さん一人ひとりの血圧のタイプや合併症の有無に合わせて、最適なお薬を選択します。自己判断で中断せず、医師と相談しながらコントロールしていきましょう。

★高血圧に関するよくある質問(Q&A)

診察室でよく患者さんからいただく質問をまとめました。日々の生活の参考にしてください。

Q1. 家で測ると低いのに、病院で測ると高くなります。どちらが本当ですか?
A. どちらも重要ですが、最近は「家庭血圧」がより重視されています。 病院に来ると、緊張して一時的に血圧が上がってしまうことがあります。これを「白衣高血圧」と呼びます。逆に、病院では正常なのに家では高い「仮面高血圧」というタイプもあり、こちらは発見が遅れやすいため注意が必要です。 普段のリラックスした状態での血圧を知るために、家庭での毎日の測定記録をぜひ診察にお持ちください。

Q2. 血圧の薬は、一度飲み始めると一生やめられないのですか?
A. 必ずしも一生飲み続けるわけではありません。 「薬=一生」と不安に思う方は多いですが、誤解です。食事療法や運動療法、減量などによって生活習慣が改善され、薬なしでも正常な血圧を保てるようになれば、医師の判断で薬を減らしたり、中止したりすることは可能です。 ただし、自己判断で急にやめるのは危険です(リバウンドで血圧が急上昇することがあります)。必ず医師と相談しながら進めていきましょう。

Q3. 血圧はいつ測るのが良いですか?
A. 朝と夜の1日2回、決まった時間に測るのが理想です。
・朝: 起床後1時間以内、トイレを済ませて、朝食や薬を飲む前に。
・夜: 入浴や食事を済ませて、寝る直前のリラックスしている時に。
それぞれ1〜2回測って記録してください。日によって変動するものなので、一喜一憂せず長期的な傾向を見ることが大切です。

Q4. 自覚症状がないのですが、本当に治療が必要ですか?
A. はい、症状がない今こそ治療のチャンスです。 高血圧の怖いところは、頭痛や肩こりなどの症状が出たときには、すでに動脈硬化がかなり進行している場合が多いことです。 痛くないから大丈夫ではなく、痛くなる前に血管を守るのが高血圧治療です。将来、脳卒中や心筋梗塞で倒れないための転ばぬ先の杖として治療を捉えてください。

Q5. お酒は飲んでもいいですか?
A. 適量であれば楽しんでいただいて構いません。 過度な飲酒は血圧を上げ、薬の効果を弱めてしまいますが、適量なら許可されることがほとんどです。
【1日の適量の目安】
・ビール:中瓶1本(500ml)
・日本酒:1合
・ワイン:グラス2杯
・焼酎:半合弱
※ただし、週に1〜2日は肝臓を休める休肝日を作りましょう。

Q6. 薬を飲み忘れたときはどうすればいいですか?
A. 気づいたときに1回分を飲んでください。ただし、次の服用時間が近い場合は飛ばしましょう。 絶対にやってはいけないのは、2回分をまとめて飲むことです。血圧が下がりすぎて、ふらつきやめまいを起こす危険があります。 飲み忘れが多い場合は、1日1回で済む薬への変更や、飲むタイミングの調整などができる場合もありますので、お気軽にご相談ください。