過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome、以下IBS)は、腸の運動や感覚の異常によって、慢性的な腹痛、下痢、便秘、腸の膨満感、腹部不快感などの症状を引き起こします。
なんらかの影響で腸が知覚過敏になることが原因と言われています。それがなにかははっきりとはわかっていませんが、ストレスや食物、腸内細菌叢の異常などが関連していると考えられています。感染性腸炎にかかった場合、回復後になりやすいことが知られています。
下痢型、便秘型、混合型、分類不能型の4つがあります。4つの型の違いにより症状も異なり、便秘型の患者さんはストレスを感じると便秘がひどくなります。一方、下痢型の患者さんは緊張するとお腹が痛くなったり、下痢になったりします。混合型の患者さんは下痢をしたり便秘をしたり、便通が変動するのが特徴です。症状の程度や頻度にも個人差があります。
食事の改善、ストレスの軽減、運動などの生活習慣の改善が中心です。また、精神療法などの心理的アプローチも有効なこともあります。それでも症状が良くならない場合にはお薬を使用します。薬物療法としてまず、腸の運動を整える薬や、整腸剤、水分を吸収し便の水分バランスを調整する薬など使用します。下痢型の方には腸の運動異常を改善させる薬、便秘型の方には便を柔らかくする薬も用いられます。また下痢に対しては下痢止め、お腹の痛みには抗コリン薬、便秘に対しては下剤も使用します。
IBSは症状が慢性的に続くため、生活に大きな影響を与えることがあります。症状に悩んでいる場合には、専門医の診断・治療を受けることが重要です。