「健康診断で数値が高いと指摘されたけれど、どこも痛くないし…」と放置していませんか? 脂質異常症は、かつて「高脂血症」と呼ばれていた病気で、血液中のコレステロールや中性脂肪が正常範囲から外れた状態を指します。
具体的には、以下のいずれかに当てはまる状態です。
・LDL(悪玉)コレステロールが多すぎる
・中性脂肪(トリグリセライド)が多すぎる
・HDL(善玉)コレステロールが少なすぎる
コレステロールと聞くと「体に悪いもの」というイメージがあるかもしれませんが、実は細胞膜やホルモンを作るための大切な材料です。数値が上がる原因は、大きく分けて2つあります。
1.食事による影響: 脂っこい食事、卵類、レバーなどの摂りすぎ、またアルコールの飲みすぎ。
2.体質・遺伝・加齢: 実は体内のコレステロールの約7〜8割は「肝臓」で作られています。食事に気をつけていても、体質や閉経後のホルモンバランスの変化などで数値が上がってしまうことも少なくありません。
悪玉コレステロールや中性脂肪が多い状態を放置すると、血管の壁に脂質が溜まり、血管が硬く・狭くなる「動脈硬化」が進みます。恐ろしいのは、動脈硬化が進んでも痛みや違和感が全くないことです。 ある日突然、血管が詰まってしまい、以下の重大な病気を引き起こすリスクがあります。
・脳梗塞: 脳の血管が詰まり、麻痺や言語障害が残る
・心筋梗塞・狭心症: 心臓の筋肉に血液が行かなくなり、激しい胸痛に襲われる
「症状がない=健康」ではなく、「将来の大きな病気を防ぐための準備期間」と捉えることが大切です。

「基準値を超えているから即治療」とは限りません。脂質異常症の治療で最も大切なのは、「あなた自身の全体的なリスク」に合わせた目標設定です。
動脈硬化のリスクを高める要因には以下のようなものがあります。
・高血圧・糖尿病を患っている
・喫煙の習慣がある
・高齢(男性45歳以上、女性55歳以上)である
・過去に心筋梗塞を起こしたことがある
これらのリスクが重なるほど、血管はダメージを受けやすいため、LDLコレステロールを通常よりも「低めの数値」まで下げる必要があります。当院では、ガイドラインに基づき、お一人おひとりの年齢や持病を考慮したオーダーメイドの管理目標をご提案します。

「一生薬を飲み続けなければならないの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。 治療の基本は、まず食事療法と運動療法です。
・食事: 食物繊維(野菜・海藻)を増やし、動物性脂質を控える。
・運動: 1日30分程度のウォーキングなど、無理のない範囲で継続する。
これらを見直しても目標値に届かない場合や、すでに動脈硬化のリスクが高い場合に限り、お薬による治療を検討します。「数値が少し高いだけ」と思わず、まずは一度ご相談ください。 10年後、20年後も健康な血管で過ごすために、今から一緒に準備を始めましょう。