はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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胆管炎・胆嚢炎

胆管炎・胆嚢炎について(症状・原因・治療法の徹底解説)

 みぞおちや右脇腹に差し込むような激しい痛みを感じたり、震えがくるほどの高熱が出たりしてお困りではありませんか? これらは消化器の救急疾患である胆管炎(たんかんえん)や胆嚢炎(たんのうえん)の可能性があります。
消化器内科や外科の領域では頻度の高い病気ですが、放置すると細菌が全身に回り、命に関わる重篤な状態(敗血症)になるリスクがあります。しかし、適切なタイミングで治療を受ければ、多くの場合は順調な回復が見込めます。
ここでは、この2つの病気の違いや、具体的な症状、検査、最新の治療法について詳しく解説します。

胆管炎と胆嚢炎の違い(どこの病気?)

 どちらも消化液である胆汁(たんじゅう)の通り道にトラブルが起きる病気です。名前は似ていますが、炎症が起きる場所によって危険度や治療の優先順位が異なります。

〇胆嚢炎(たんのうえん):貯蔵庫のトラブル

 胆汁を一時的に貯めて濃縮しておく袋(胆のう)に炎症が起きた状態です。 出口が石などで塞がれることで、胆のうの中で細菌が増殖し、腫れ上がります。重症化すると胆のうの壁が腐って穴が開く(穿孔)ことがあり、腹膜炎の原因となります。

〇胆管炎(たんかんえん):通り道のトラブル

 肝臓で作られた胆汁が十二指腸へ流れるパイプ(胆管)が詰まり、そこで細菌感染が起きた状態です。 胆管は肝臓の中を血管と並走しているため、ここで増殖した細菌は容易に血液中に入り込みます。そのため、胆嚢炎よりも細菌が全身に回りやすく、敗血症によるショック状態を引き起こしやすい、非常に緊急性の高い病気です。

●原因は?(なぜなるの?)

 最大の原因は「胆石(たんせき)」です。 胆汁の成分が固まってできた石が、胆のうの出口や胆管に詰まることで、胆汁の流れがせき止められます。そこに腸内細菌などが感染し、炎症が爆発的に広がります。
・胆石(最も多い原因): 加齢、食生活、体質などが関係します。
・腫瘍(がん): 胆管がんや膵臓がんなどが胆管を圧迫して詰まらせることがあります。
・その他: 胆管の構造異常や、稀ですが寄生虫が原因となることもあります。

●どんな症状が出るの?(セルフチェック)

 以下のような症状がある場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。特に高齢の方は症状がはっきり出ないこともあるため注意が必要です。
〇胆のう炎の症状
・右季肋部(右の肋骨の下あたり)からみぞおちの痛み
・食後の不快感や鈍痛(特に脂っこい食事のあと)
・38度程度の発熱
・吐き気・嘔吐
〇胆管炎の症状(より重篤になりやすい)
・悪寒を伴う高熱(震えが止まらない)
・黄疸(おうだん): 白目が黄色くなる、尿が濃い茶色になる
・意識障害・ショック状態: 呼びかけに反応が鈍い、血圧低下など(非常に危険なサインです)

⚠️ 緊急受診の目安 激しい腹痛に加え、「高熱」と「黄疸(目が黄色い)」が出ている場合は、一刻を争う状態(急性閉塞性化膿性胆管炎の可能性)があります。すぐに救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。

●検査と診断(病院で何をするの?)

患者さんの訴え(自覚症状)に加え、以下の検査を行って確定診断をします。
①血液検査
炎症の強さ(白血球やCRPの上昇)や、肝臓へのダメージ(肝機能数値の上昇)、黄疸の数値などを確認します。
②腹部超音波検査(エコー検査)
胆石の有無や、胆のうが腫れていないかを確認します。被曝がなく、痛みもないため最初に行われます。
③CT検査・MRI検査
エコーより詳しく、お腹全体の断面図を撮影します。石の位置や、がんが隠れていないかなどを詳細に調べます。

●治療法について(治し方)

 重症度に応じて、「薬で散らす」「管を通す」「手術で取る」のいずれか、または組み合わせを選択します。
A. 胆のう炎の治療
基本的には入院が必要です。
1.初期治療: 絶食(食事をストップして胃腸を休める)、点滴、抗生剤・鎮痛剤の投与を行います。
2.手術(胆嚢摘出術):
・腹腔鏡下手術: お腹に小さな穴を数カ所開けてカメラと器具を入れて行う手術です。傷が小さく、術後の回復が早いため、現在はこちらが主流です。
・開腹手術: 炎症が非常に激しい場合や、以前にお腹の手術をして癒着がある場合などは、お腹を切開して行うことがあります。

B. 胆管炎の治療
「感染した胆汁を外に出す」ことが最優先です。これを「胆道ドレナージ」と呼びます。
・内視鏡的胆道ドレナージ(ERCP): 胃カメラのような内視鏡を口から入れ、十二指腸まで進めます。そこから胆管へ細いチューブを入れ、詰まりの原因となっている石を取り除いたり、膿んだ胆汁を流し出したりします。お腹を切らずに治療可能です。
・経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD): 内視鏡での治療が難しい場合、お腹の皮膚から肝臓に向かって針を刺し、直接チューブを入れて胆汁を抜く方法です。

●再発と予防・生活上の注意

再発について
・結石が原因の場合: 胆のうを摘出していない場合や、胆管内に石が取り切れずに残ってしまった場合、再発することがあります。
・その他の場合: 胆管の形の異常や腫瘍が原因の場合、根本的な治療を行わないと繰り返すことがあります。

治療後の生活・食事について
「胆のうを取ってしまっても大丈夫ですか?」とよく質問をいただきますが、日常生活にはほとんど支障ありません。ただし、胆汁を貯める場所がなくなるため、体が慣れるまでは以下の点に注意してください。
・脂肪分を控える: 揚げ物や脂身の多い肉は下痢の原因になりやすいため、術後しばらくは控えめにしましょう。
・規則正しい食事: 暴飲暴食を避け、消化の良いものをよく噛んで食べましょう。

●よくある質問(FAQ)

患者さんから診察室でよくいただく質問をまとめました。

Q. 健診で「胆石がある」と言われましたが、無症状でも手術が必要ですか?

A. 症状が全くない無症状胆石の場合は、すぐに手術をする必要はありません。 ただし、一度でも発作(痛み)が起きたことがある場合や、胆石が大きく胆のうがんのリスクが否定できない場合は、炎症がない時期(待機的手術)の手術をお勧めすることがあります。まずは定期的なエコー検査で経過を見守りましょう。

Q. 胆のうを取ってしまっても、その後の生活に支障はありませんか?

A. 日常生活にはほとんど支障ありません。 胆のうは胆汁を貯める倉庫ですが、胆汁自体は肝臓で作られ続けています。手術直後は、濃縮されていない胆汁が絶えず腸に流れるため、下痢や軟便になりやすい方がいらっしゃいますが、数ヶ月かけて体が慣れてくると症状は落ち着いてきます。

Q. 治療後の食事で気をつけることはありますか?

A. 術後1〜2ヶ月程度は、脂肪分の多い食事を控えめにしてください。 天ぷら、うなぎ、脂身の多い肉、生クリームなどは消化不良や下痢の原因になりやすいです。また、規則正しい時間に食事を摂ることで、胆汁の排出リズムが整いやすくなります。

Q. ストレスが原因で発症しますか?

A. ストレスそのものが石を作るわけではありませんが、発症の引き金にはなります。 ストレスによる自律神経の乱れは、胆のうや胆管の動きを悪くしたり、暴飲暴食につながったりするため、結果として発作を誘発することがあります。