胆嚢や胆管になんらかの原因により炎症が生じた状態です。胆のう炎は胆のうがむくんで腫れて、炎症が進行すると胆のうの壁が壊死(くさる)していきます。胆管炎は胆管に細菌感染を起こした状態を指します。
胆石が原因となることが多く、胆石により胆汁の流れが悪くなり細菌感染を起こすことにより発症します。そのほかの原因としては胆管の構造異常や腫瘍によるもの、寄生虫によるものなどがあります。
胆のう炎の初期には上腹部~右季肋部の不快感や鈍痛ですが、炎症が進行すると痛みが強くなり次第に激痛になります。急性胆のう炎を発症すると発熱して黄疸や右季肋部痛が起こり、進行すると意識レベルが低下してショック状態になることもあります。
発熱や腹痛、黄疸などの自覚症状に加えて、血液検査や画像検査を行うことで診断します。血液検査では炎症反応が上昇し、肝機能障害が認められます。画像検査では腹部超音波検査、CTなどおこなって診断します。
胆のう炎の場合には、まず検査結果と自覚症状を総合して重症度を判定します。初期治療としては絶食、点滴のうえ抗生剤や鎮痛剤を使用します。状況に応じて早期に手術をすることもありますが、待機的に手術することもあります。手術は開腹手術や腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われます。
胆管炎の場合にも絶食・点滴・抗生剤投与で加療を行いますが、これに加えて胆道ドレナージ(胆汁の流れをよくする)が行われます。胆道ドレナージには内視鏡を用いた行う方法と、体表から肝臓に刺して行う方法があります。
胆嚢結石、胆管結石が原因である場合には、結石が残存、再発すると治療した後も再発することがあります。また胆管の構造異常や腫瘍によるものの場合、治療しても繰り返し発症することもあります。