はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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胃癌

胃癌(胃がん)について:症状・原因から最新の検査・治療法まで徹底解説

胃癌(胃がん)は、日本人がかかる癌の中でも依然として多くの割合を占める病気です。しかし、医療技術の進歩により、早期に発見できれば完治が十分に期待できる病気でもあります。 ここでは、胃癌のメカニズムや症状、検査方法、そして当院での対応について詳しく解説します。

●胃癌(胃がん)とはどのような病気か

 胃癌は、胃の内側を覆っている粘膜(ねんまく)の細胞が、何らかの原因で癌細胞に変化し、増殖することで発生します。 胃の壁は、内側から外側に向かって、以下の4つの層で構成されています。
1.粘膜(ねんまく):最も内側の層。癌はここから発生します。
2.粘膜下層(ねんまくかそう)
3・固有筋層(こゆうきんそう):胃を動かす筋肉の層。
4.漿膜(しょうまく):胃を覆う一番外側の膜。

〇癌の進行と広がり方(浸潤と転移)

 発生したばかりの癌は粘膜にとどまっていますが、時間が経つにつれて胃の壁の深部(外側)へと深く潜っていきます。これを浸潤(しんじゅん)と呼びます。 癌が深く進むと、以下のようなルートで体中に広がっていきます。
・リンパ行性転移 癌細胞がリンパ液の流れに乗り、胃の近くや離れた場所のリンパ節に移動して増殖することです。
・血行性転移 癌細胞が血液の流れに入り込み、肝臓や肺、骨など、胃から離れた臓器に移動することです。
・腹膜播種(ふくまくはしゅ) 癌が胃の壁を突き破り、お腹の中(腹腔内)に種をまくように散らばることです。

〇若い世代にも注意が必要な「スキルス胃癌」

 一般的な胃癌とは異なり、胃の壁の中を這うように、しみ込むように広がっていくタイプをスキルス胃癌と呼びます。
・20代から40代の比較的若い世代や、女性に多く見られる傾向があります。
・粘膜の表面には変化が現れにくいため、バリウム検査や通常の内視鏡観察でも早期発見が非常に難しい癌です。
・進行が速いため、発見された時にはすでに進行しているケースが少なくありません。 腹痛や食欲不振が続く場合は、年齢に関わらず専門医による精密検査を受けることが大切です。

●胃癌の症状について

胃癌の症状は、進行度によって大きく異なります。

〇早期胃癌の症状

 最も重要な点は、早期の胃癌には自覚症状がほとんどないということです。 痛みや出血などのサインがないため、無症状のまま進行してしまうことが胃癌の怖さです。検診や人間ドックで偶然見つかるケースが大半を占めます。

〇進行胃癌の症状

癌が大きくなったり、深く進行したりすると、次のような症状が現れることがあります。
・みぞおち(心窩部)の痛みや不快感
・胃もたれ、胸やけ、重苦しい感じ
・吐き気、嘔吐(食べたものが通過しにくくなるため)
・食欲不振、食べ物がつかえる感じ
・お腹がすぐにいっぱいになる(腹部膨満感)
・原因不明の体重減少

〇要注意サイン:貧血と黒色便

胃癌の表面から出血することで、以下の症状が出ることがあります。
・貧血(ふらつき、めまい、顔色が悪い)
・便が真っ黒になる(タール便:海苔の佃煮のような黒い便) これらは胃からの出血を示唆する重要なサインですので、すぐに医療機関を受診してください。

 これらは胃炎や胃潰瘍機能性胃腸症などの良性疾患でもよく見られる症状です。症状だけで癌かどうかを自己判断することは危険ですので、必ず内視鏡検査で確認しましょう。

●胃癌の原因とリスク要因

 なぜ胃癌になるのか、その原因は多岐にわたりますが、最大の要因は感染症です。

1. ヘリコバクター・ピロリ菌の感染

 胃癌発生の最大のリスク因子です。ピロリ菌に長期間感染することで「慢性胃炎」が引き起こされ、胃の粘膜が薄くなる「萎縮性胃炎」へと進行します。この萎縮した粘膜から、癌が発生しやすくなることが分かっています。 ピロリ菌を除菌することで、胃癌のリスクを大幅に低減させることが可能です。

2. 生活習慣・食生活

・塩分の過剰摂取(塩辛い食品、漬物、加工肉など)
・喫煙(タバコは胃癌リスクを確実に高めます)
・野菜や果物の摂取不足
・過度の飲酒
・熱すぎる食べ物の摂取

3. その他

・遺伝的要因(血縁者に胃癌の方がいる)
・加齢(50歳代以降で増加傾向にあります)

●胃癌のタイプ(組織型分類)

 顕微鏡で癌細胞の顔つきを確認することで、大きく2つのタイプに分けられます。これにより治療方針や進行の予測が異なります。

〇分化型胃癌(ぶんかがた)

正常な胃の粘膜の構造を残しながら増殖するタイプです。
・高齢の男性に多い傾向があります。
・進行は比較的緩やかです。
・まとまって増殖するため、早期であれば内視鏡治療で根治しやすいタイプです。

〇未分化型胃癌(みぶんかがた)

正常な組織の構造を持たず、バラバラに増殖するタイプです。
・スキルス胃癌の多くはこのタイプに含まれます。
・進行が比較的速く、周囲へ広がりやすい性質があります。

●胃癌の検査と診断

胃癌の発見と確定診断には、以下の検査が行われます。
1.胃内視鏡検査(胃カメラ) 最も確実な検査方法です。胃の内部を直接観察し、疑わしい病変があればその一部を採取(生検)して、顕微鏡で癌細胞があるかを調べます。
2.上部消化管造影検査(バリウム検査) 胃の形や変形、粘膜の凹凸を確認します。検診で広く行われていますが、平坦な早期癌の発見は内視鏡に比べて劣ります。
3.CT検査・PET検査 癌と診断された後、リンパ節や他の臓器への転移がないか、癌の進行度(ステージ)を調べるために行います。

●胃癌の治療方法

 治療法は、癌の深達度(深さ)、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などを総合的に評価し、病期(ステージ)を決定した上で選択されます。

1. 内視鏡治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術など)

 お腹を切らずに、口から入れた内視鏡を使って胃の内側から癌を削ぎ取る治療です。
・対象: リンパ節転移の可能性が極めて低い、早期の胃癌。
・メリット: 胃をそのまま温存できるため、食生活への影響が少なく、体への負担も軽微です。
・注意点: 切除した組織の最終的な検査結果によっては、後日追加で外科手術が必要になる場合があります。

2. 外科手術

 内視鏡治療の適応外となった場合や、進行癌に対して行われます。
・開腹手術: お腹を大きく切開して行う従来の手術法です。
・腹腔鏡手術・ロボット支援下手術: お腹に小さな穴を数箇所開けて器具を入れ、モニターを見ながら行う手術です。傷が小さく、術後の回復が早いのが特徴です。 癌のある部分だけでなく、転移を防ぐために周囲のリンパ節も一緒に切除(リンパ節郭清)します。

3. 薬物療法(化学療法)

 手術で取りきれないほど進行している場合や、術後の再発予防、または再発してしまった場合に行われます。
・抗がん剤
・分子標的薬(癌細胞の特定の分子を狙い撃ちする薬)
・免疫チェックポイント阻害薬(免疫の力を利用して癌を攻撃する薬) これらを患者さんの状態に合わせて適切に組み合わせて使用します。

●予防と早期発見のためにできること

 胃癌で命を落とさないために最も重要なのは、予防と早期発見です。

〇予防への取り組み

・ピロリ菌の検査と除菌: 胃癌予防の基本です。一度も検査を受けたことがない方は、必ず確認しましょう。
・禁煙: タバコをやめることは胃癌だけでなく、多くの病気のリスクを下げます。
・減塩: 塩分の多い食事を控え、野菜や果物を積極的に摂りましょう。

〇定期的な内視鏡検査の推奨

 どれほど生活習慣に気をつけていても、癌を100%防ぐことはできません。しかし、定期的に検査を受けていれば、万が一癌ができても早期発見が可能です。 早期胃癌の段階で見つかれば、お腹を切らずに内視鏡で治すことができ、完治する確率は非常に高くなります。 「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないうちに検査を受ける」ことが、ご自身の健康を守る最善の方法です。

●当院の胃内視鏡検査(胃カメラ)の特徴

 当院では、患者さんが検査に対して抱く「苦しい」「怖い」というイメージを払拭し、安心して受けていただける検査体制を整えています。

〇鎮静剤を使用した「苦痛の少ない」検査

 静脈麻酔(鎮静剤)を使用し、ウトウトと眠っているような状態で検査を受けていただくことが可能です。 検査終了後、多くの患者さんから「気づいたら終わっていた」「以前よりずっと楽だった」とのお声をいただいております。

〇鼻から挿入する「経鼻内視鏡」にも対応

 嘔吐反射(オエッとなる反射)が強い方には、舌の付け根に触れずに挿入できる、鼻からの極細カメラも選択可能です。検査中に会話もできるほど負担が少ない方法です。

〇内視鏡専門医・指導医による精密な診断

 経験豊富な専門医が検査を担当します。ハイビジョン画像や特殊光観察(NBIなど)などの最新技術を駆使し、微細な早期癌も見逃さない丁寧な観察を行います。

〇わかりやすい結果説明と迅速な連携

 検査当日に、画像を一緒に見ながらわかりやすく結果をご説明します。もし治療が必要な病変が見つかった場合も、最適な治療法や連携病院について、その場で迅速にご案内いたします。

〇土曜日の検査にも対応

 平日お忙しい方のために、土曜日の胃カメラ検査も行っています。お仕事や家事の合間に、無理なく検査を受けていただけます。
胃の不調を感じている方はもちろん、検診異常を指摘された方、ピロリ菌が気になる方も、まずはお気軽にご相談ください。 早期発見・早期治療が、あなたの未来と生活の質(QOL)を守ります。