はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

MENU

CLOSE

はら内科医院

肺炎

肺炎とは?症状・原因・治療から予防接種まで徹底解説

●肺炎ってどんな病気?

 肺炎とは、肺の中に細菌やウイルスなどの病原体が入り込み、炎症を起こしている状態のことです。
私たちの肺は、呼吸をするたびに酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するガス交換を行っています。肺炎になると、酸素を取り込むための肺胞(はいほう)という小さな袋に膿(うみ)や水分がたまってしまいます。その結果、酸素がうまく取り込めなくなり、息苦しさや激しい咳、発熱といったつらい症状が現れます。

風邪と肺炎の違い

 風邪と肺炎は症状が似ていますが、医学的には異なる病気です。
・風邪(感冒): 主に喉や鼻など、空気の通り道の入り口付近(上気道)で起こる炎症です。多くは数日で自然に良くなります。
・肺炎: 肺の奥深い部分(肺胞など)まで感染が広がった状態です。自然治癒は難しく、適切な治療を行わないと重症化し、命に関わることがあります。

 風邪をこじらせて肺炎になることもあれば、最初から肺炎として発症することもあります。「ただの風邪だろう」と自己判断せず、症状が長引く場合は注意が必要です。

●肺炎の原因

 肺炎の原因は一つではありません。原因となる病原体によって、大きく3つのタイプに分けられます。

1. 細菌性肺炎

 肺炎の中で最も多いタイプです。肺炎球菌という細菌が原因の約3割から4割を占めます。そのほか、インフルエンザ菌(ウイルスではありません)、黄色ブドウ球菌などが原因となります。抗菌薬(抗生物質)による治療が有効です。

2. ウイルス性肺炎

 インフルエンザウイルス、RSウイルス、新型コロナウイルスなどが原因で起こります。ウイルスそのものを退治する薬だけでなく、症状を和らげる対症療法が中心となることが多いです。

3. 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

 高齢の方に非常に多いのが、この誤嚥性肺炎です。 本来、食道を通って胃に入るはずの食べ物や飲み物、唾液などが、誤って気管や肺に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言います。口の中の細菌が食べ物と一緒に肺に入り込み、そこで炎症を起こしてしまいます。
高齢者の方で、以下のようなサインがある場合は注意が必要です。
・食事中や食後によくむせる
・食事に時間がかかるようになった
・声がガラガラとかすれる

●気になる症状をチェック

 肺炎の症状は人によって異なりますが、代表的なものは以下の通りです。ご自身やご家族に当てはまるものがないか確認してみましょう。
・38℃以上の高熱が続く
・激しい咳が止まらない
・黄色や緑色、鉄錆色(てつさびいろ)のたんが出る
・少し動いただけで息切れがする
・胸が痛い、呼吸をするとズキズキする
・全身がだるく、食欲がない

〇高齢者の肺炎は症状が出にくい

 特に気をつけたいのが、高齢者の肺炎です。 高齢の方は免疫の反応が弱くなっているため、38℃以上の高熱が出なかったり、激しい咳が出なかったりすることがあります。これを「非定型症状」と呼びます。
・なんとなく元気がない
・食欲が急に落ちた
・意識がぼんやりしている
・呼吸が浅く速い

こうした変化も肺炎のサインである可能性があります。「熱がないから大丈夫」と油断せず、いつもと様子が違うと感じたら早めの受診をお勧めします。

●肺炎になりやすい人(ハイリスク群)

 誰でも肺炎になる可能性はありますが、以下の方々は特に重症化しやすいため、日頃からの予防が大切です。

・65歳以上の高齢者
・免疫力が低下している方(抗がん剤治療中の方など)
・持病(基礎疾患)がある方・・糖尿病、心臓病(心不全など)、呼吸器疾患(喘息、COPDなど)、腎臓病
・喫煙習慣がある方、または過去に喫煙歴がある方
・乳幼児

●検査と診断

 病院では、問診や聴診に加え、以下のような検査を行って診断します。

・胸部レントゲン検査: 肺に白い影(炎症)がないかを確認します。
・血液検査: 炎症の程度(CRPや白血球数など)や、脱水の有無などを調べます。
・CT検査: レントゲンでは見えにくい小さな肺炎や、影の広がりを詳しく調べます。
・病原体検査: たんや尿、鼻の粘膜などを使い、原因となっている菌やウイルスを特定します。

●治療方法について

 治療法は、原因菌や重症度、患者さんの体力によって決定します。

〇自宅療養の場合(軽症)

 飲み薬の抗菌薬(抗生物質)を服用し、自宅で安静にします。脱水にならないよう、水分と栄養を十分にとることが重要です。処方された薬は、熱が下がっても自己判断で止めず、指示された日数を飲みきってください。

〇入院治療の場合(中等症〜重症)

 呼吸が苦しい、食事がとれない、脱水症状がある、酸素の値が低いといった場合は入院が必要です。 点滴による抗菌薬の投与や、酸素吸入、脱水の補正などを行います。早期に適切な治療を開始することで、回復を早めることができます。

●今日からできる予防法

 肺炎は、日々の生活習慣や予防接種でリスクを下げることができます。

1. 基本的な感染対策

・こまめな手洗いと、喉のウイルスを洗い流すうがい
・人混みや換気の悪い場所でのマスク着用

2. お口の中を清潔にする(口腔ケア)

 誤嚥性肺炎の予防には、歯磨きや口腔ケアが非常に重要です。口の中の細菌を減らすことで、万が一誤嚥しても肺炎になりにくくなります。

3. 生活習慣の改善

・禁煙: タバコは肺の防御機能を破壊します。禁煙は肺炎予防の第一歩です。
・栄養と睡眠: バランスの良い食事と十分な睡眠で、免疫力を維持しましょう。

4. ワクチン接種

 ワクチンを接種することで、肺炎にかかりにくくしたり、かかっても重症化を防いだりする効果が期待できます。

●かかったかも?と思ったら

肺炎は、早期発見・早期治療が何より重要です。 以下のような症状があれば、我慢せずに呼吸器内科やかかりつけの内科を受診してください。

・風邪薬を飲んでも症状が良くならない
・高熱が3日以上続く
・息苦しさや胸の痛みがある
・高齢の家族の様子がおかしい(元気がない、食欲がない)

早めに対処することで、入院せずに通院で治せる可能性も高まります。不安な症状があるときは、いつでもご相談ください。

●肺炎球菌ワクチンについて

 肺炎の原因で最も多い「肺炎球菌」に対するワクチンです。

〇定期接種の対象者

予防接種法に基づき、以下の方は定期接種(費用の助成が受けられる接種)の対象となります。

・65歳の方(65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日まで)
・60歳から64歳で、心臓、腎臓、呼吸器の機能、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活が極度に制限される程度の障害がある方

〇定期接種で使用するワクチン

現在は主に「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックスNP)」が定期接種として使用されています。 ※過去に一度でもこのワクチン(23価ワクチン)を接種したことがある方は、定期接種の対象外(全額自己負担)となりますのでご注意ください。接種歴が不明な場合はご相談ください。

💉 肺炎球菌ワクチンの比較(費用は自費接種の場合)

ワクチン名


接種回数


効果の特徴


費用(税込)


ニューモバックス(PPSV23)
(定期接種対象)
5年以上あけて再接種 ・23種類の菌に対応(最も多い)
・効果は5年ほどで弱まるため、追加接種が必要
・免疫の持続はやや短め
8,800円
プレベナー20(PCV20) 1回のみでOK ・20種類に対応
・結合型ワクチンで、免疫が長持ちしやすい
・すでに広く使われている実績あり
13,200円
キャップバックス(PCV21) 1回のみでOK ・21種類に対応(成人に多い菌型を広くカバー)
・「結合型ワクチン」で免疫が長く続きやすい
・新しく登場した成人用ワクチン
15,400円