新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの生活に大きな影響を与えてきましたが、現在ではウイルスとの付き合い方も変化しています。 当院では、患者さんが安心して過ごせるよう、
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、「SARS-CoV-2」というウイルスが引き起こす呼吸器の感染症です。 2023年5月より、感染症法上の位置づけが「5類感染症」へ移行しましたが、ウイルスの感染力そのものが弱まったわけではありません。現在も季節を問わず流行を繰り返しており、引き続き適切な対策が必要です。
初期症状だけでは、風邪やインフルエンザとの区別が非常につきにくいのが特徴です。 しかし、新型コロナウイルスは「無症状でも他人にうつす可能性がある」「特定の基礎疾患がある方は重症化しやすい」という点で、通常の風邪とは異なる注意が必要です。
感染から発症までの期間(潜伏期間)は、流行している変異株によって異なりますが、現在は2〜4日程度と短くなる傾向にあります。
多くの患者さんに、以下のような風邪に似た症状が現れます。
・発熱(37.5℃以上の熱が出ることが多いですが、微熱の場合もあります)
・のどの痛み(唾を飲み込むと痛い、焼けるような痛み)
・激しい咳、痰
・鼻水、鼻づまり
・全身の倦怠感(ひどい体のだるさ)
・関節痛、筋肉痛
・頭痛
・味覚・嗅覚障害:味がしない、においが分からない(以前より頻度は減りましたが、現在も見られます)
・消化器症状:下痢、吐き気、腹痛など
医師からのアドバイス:症状の現れ方には個人差があります。「熱がないから大丈夫」と思わず、のどの違和感や咳が続く場合は、感染の可能性を考慮して行動しましょう。
主な感染経路は以下の3つです。特に「換気の悪い場所」と「家庭内」での感染が多く報告されています。
1.飛沫感染(ひまつかんせん) 感染者の咳、くしゃみ、会話時のしぶき(飛沫)を直接吸い込むことで感染します。1メートル以内の近距離での会話はリスクが高まります。
2.エアロゾル感染(空気中を漂う微粒子) 換気が不十分な室内では、ウイルスを含んだ微細な粒子が空気中をしばらく漂い続け、離れた場所にいる人が吸い込んで感染することがあります。
3.接触感染 ウイルスがついた手で、自分の目、鼻、口を触ることで粘膜から感染します(ドアノブ、スイッチ、スマホの画面などは要注意です)。
多くの方は軽症のまま1週間程度で自然回復しますが、以下の方は重症化(肺炎や呼吸不全)のリスクが高いため、早期の相談・治療が重要です。
〇高齢者(65歳以上)
〇基礎疾患がある方
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息などの呼吸器疾患
・高血圧、心疾患
・糖尿病
・慢性腎臓病(透析中の方を含む)
〇肥満の方(BMI 30以上)
〇喫煙歴のある方
〇妊娠中の方
〇免疫抑制剤や抗がん剤を使用中の方
自宅療養中に以下の症状が出た場合は、迷わず医療機関に連絡するか、救急搬送を依頼してください。
・呼吸が苦しい、息にぜーぜー音がする
・横になれない、座っていないと息ができない
・顔色や唇が青白い
・胸の痛みが続く
・意識がぼんやりしている、呼びかけに応じない
症状や経過、周囲の感染状況を伺った上で、必要に応じて抗原検査を行います。
【注意点】 ウイルス量が少ない発症直後(発熱から半日以内など)は、偽陰性(本当は陽性なのに陰性と出る)になることがあります。また検査結果が陰性であっても、感染を100%否定できるわけではありません。症状が続く場合は、数日後の再検査をお勧めすることがあります。
現在の新型コロナウイルス治療は、患者さんの重症化リスクに応じて決定されます。
基本的には、自身の免疫力で治癒するため、対症療法が中心となります。
・解熱鎮痛剤(熱や痛みを和らげる)
・咳止め、去痰薬
・のどの炎症を抑える薬
医師が必要と判断した場合、ウイルスの増殖を抑える「経口抗ウイルス薬(飲み薬)」を処方することがあります。
※抗ウイルス薬には、併用できない薬(飲み合わせの悪い薬)が多くあるため、普段飲んでいるお薬手帳を必ずご提示ください。
回復した後も、数週間〜数ヶ月にわたり症状が続く場合があり、「罹患後症状(後遺症)」と呼ばれます。軽症だった方でも発症する可能性があります。
よくある後遺症の症状
・強い倦怠感(すぐに疲れて動けなくなる)
・息切れ、動悸
・思考力の低下(ブレインフォグ:頭に霧がかかったような状態)
・咳が止まらない
・味覚・嗅覚の異常
・脱毛
日常生活に支障が出る場合は、一人で悩まず当院へご相談ください。症状に合わせた緩和治療や、専門医療機関への紹介を行います。
5類移行後も、感染対策の基本は変わりません。
・換気:室内の空気を定期的に入れ替えましょう。
・手洗い・手指消毒:帰宅時や食事前は徹底しましょう。
・マスクの着用:医療機関や高齢者施設への訪問時、混雑した場所では着用を推奨します。また、ご自身に症状がある場合は、周りの方への配慮としてマスクを着用しましょう。
ワクチンには、発症予防および重症化予防の効果が期待できます。現在は、流行の主流である変異株に対応したワクチン接種が定期的に行われています。 基礎疾患がある方や高齢者の方は、医師と相談の上、接種をご検討ください。