はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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感染性胃腸炎

感染性胃腸炎(お腹の風邪)の症状・うつる期間・食事は?|つらい下痢・嘔吐の対処法

突然の吐き気や下痢、発熱などの症状が出る「感染性胃腸炎(お腹の風邪)」。ノロウイルスやロタウイルスなどの原因や潜伏期間、受診の目安、食事の再開タイミング、家庭でできる消毒液の作り方まで詳しく解説します。

●感染性胃腸炎とは?

 感染性胃腸炎とは、ウイルス・細菌・寄生虫などの病原体が口から体内に入り、胃や腸に炎症を起こす病気です。一般的に「お腹の風邪」や「胃腸風邪」と呼ばれることもあります。
主に、突然の吐き気・おう吐、下痢、腹痛といった消化器症状が現れ、発熱を伴うこともあります。
日本では特に、冬場(11月~2月頃)に流行するウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)が多く見られますが、夏場には細菌性(サルモネラ、カンピロバクターなど)も発生します。
乳幼児から高齢者まで幅広い年代で発症しますが、小さなお子さんや高齢者の方は、脱水症状により重症化することもあるため注意が必要です。

●主な症状と経過

病原体が体に入ってから発症するまで(潜伏期間)は、原因によって異なりますが、多くは1~3日程度です。

よくある症状

・下痢(泥のような便、または水のような便)
・吐き気・おう吐
・腹痛(キリキリとした痛み、お腹の張り)
・発熱(37℃〜38℃台の熱が出ることが多い)
・全身のだるさ、食欲不振

経過について

多くの場合は、発症から2~3日程度でピークを越え、自然に回復に向かいます。しかし、症状が激しい場合や1週間以上長引く場合は、別の病気の可能性もあるため注意が必要です。

●原因と感染経路

1. 主な原因(病原体)

感染性胃腸炎の原因は大きく分けて3つあります。
〇ウイルス
・ノロウイルス・・・冬に流行しやすい。感染力が非常に強い。
・ロタウイルス
・アデノウイルス など
〇細菌
・カンピロバクター・・・夏に多い。生肉や卵など食品からの食中毒が多い。
・サルモネラ
・腸炎ビブリオ など
〇寄生虫
・アニサキス など・・・生の魚介類に寄生。激しい腹痛を起こす。

2. 感染経路(どうやってうつる?)

①経口感染(食べ物から)
ウイルスや細菌に汚染された食品(生ガキなどに二枚貝、加熱不足の肉類など)を食べることで感染します。

②接触感染(人や物から)
・感染者の便やおう吐物に触れた手で、自分の口や鼻を触ることで感染します。
・ドアノブ、手すり、タオルなどを介して家庭内で広がるケースが非常に多いです。

③飛沫・空気感染(ノロウイルスなど)
・おう吐物を処理する際、乾燥して舞い上がったウイルスを吸い込むことで感染することもあります。

●受診の目安(こんな時は医療機関へ)

感染性胃腸炎の多くは自然治癒しますが、脱水症状が進行すると危険な状態になることがあります。以下のようなサインがある場合は、無理をせず早めに医療機関を受診してください。

【緊急性が高い症状】

・水分をとっても、すぐに全部吐いてしまう
・半日以上、おしっこ(尿)が出ていない、または色が濃い。
・唇や口の中がカサカサに乾いている
・ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い、意識がぼんやりしている。

【その他の注意すべき症状】

・38度以上の高熱が続いている
・便に血が混じっている、真っ黒な便が出る。
・歩けないほどの強く腹痛がある。
・下痢や嘔吐が3日以上続いている。

特に、乳幼児、高齢者、基礎疾患(心臓病、腎臓病、糖尿病など)がある方は重症化しやすいため、早めの相談をおすすめします。

●治療とホームケアのポイント

残念ながら、ウイルス性の胃腸炎をすぐに治す「特効薬」はありません(抗生物質はウイルスには効きません)。 体からウイルスや毒素を排出しきるまで待つ「対症療法」が中心となります。

1. お薬について

・下痢止めは原則使いません:下痢は、悪いものを体の外に出そうとする防御反応です。無理に止めるとウイルスが体内に留まり、回復が遅れることがあります。
・整腸剤・吐き気止め:症状を和らげるために処方されることがあります。

2. 水分補給のコツ

脱水を防ぐことが治療の最優先事項です。
・何を飲む?: 水やお茶よりも、体への吸収が良い「経口補水液(OS-1など)」が最適です。スポーツドリンクは糖分が多く電解質が少ないため、薄めて飲むなどの工夫が必要です。
・どう飲む?: 一気に飲むと吐いてしまいます。少しずつこまめに摂取してください。

3. 食事の再開ステップ

「お腹が空いた」と感じたら、消化の良いものから段階的に始めましょう。
①(吐き気が強い時): 絶食して水分補給のみ(胃腸を休ませます)。
②(少し落ち着いたら): おかゆの上澄み(重湯)、具のない味噌汁、リンゴのすりおろし、ゼリーなど。
③(回復期): おかゆ、柔らかく煮たうどん、豆腐、白身魚の煮付けなど。
・避けるべきもの: 脂肪分の多いもの(揚げ物、ラーメン)、繊維質の多い野菜(ごぼう、きのこ)、刺激物(カレー、コーヒー)、冷たい飲み物、乳製品。

●家庭での予防と消毒方法(特にノロウイルス)

感染性胃腸炎、特にノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいことで知られています。正しい予防と消毒が家庭内感染を防ぐカギとなります。

1. 日常の予防

・家族に症状がある人手洗い:トイレの後、調理・食事の前は必ず石鹸と流水で30秒以上洗いましょう。指の間や爪の間も忘れずに。
加熱:食品(特に二枚貝)は中心部までしっかり加熱(85℃以上1分以上)しましょう。
・タオルの共用を避ける: 家族に症状がある人がいる場合は、タオルを分けたり、ペーパータオルを使用しましょう。

2. おう吐物・便の処理と消毒液の作り方

市販のアルコール消毒液ではなく、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤/ハイターやブリーチなど)」を薄めた消毒液が有効です。

【消毒液の作り方】 ※500mlのペットボトルを使うと便利です。

(市販の漂白剤:塩素濃度 約5%の場合)
〇ドアノブ・手すりなどの環境消毒に使用・・・0.02%
ペットボトルの水(500ml)+ ペットボトルキャップ半分の漂白剤(約2ml)

〇おう吐物・便が付着した場所の処理用・・・0.1%:
ペットボトルの水(500ml)+ ペットボトルキャップ2杯分の漂白剤(約10ml)

【処理の手順】
①防護: 処理する人は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用します。
②拭き取り: ペーパータオル等で外側から内側に向けて静かに拭き取ります(ゴミ袋へ密閉)。
③消毒: 0.1%の消毒液で浸すように拭き、10分ほど置いてから水拭きします。
④手洗い: 処理後は石鹸で念入りに手を洗います。

※注意点
・換気を十分に行ってください。
・金属部分は腐食(サビ)の原因になるため、消毒後は必ず水拭きしてください。
・色落ちする衣類には使用できません(熱湯消毒などが有効な場合があります)。

●よくある質問(FAQ)

Q. 学校や保育園、仕事はいつから行っていいですか?
A. 明確な出席停止期間の決まり(法律)はありませんが、一般的には「下痢やおう吐などの症状が治まり、普段通りの食事がとれるようになってから」が目安です。 ただし、症状がなくなっても便の中にウイルスが排出されていることがあります(1週間〜1ヶ月程度)。トイレ後の手洗いは通常以上に徹底してください。 ※園や職場によって規定がある場合があるため、確認することをお勧めします。

Q. お風呂に入ってもいいですか?
A. 高熱がなく、吐き気や下痢が落ち着いていれば入浴可能です。ただし、お尻周りにウイルスが付着している可能性があるため、「シャワーで体を流してから入る」「一番最後に入る」などの配慮をすると安心です。