はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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大腸癌

大腸がんとは?症状・検査・最新の治療法まで徹底解説

近年、日本で最も患者数が多いがんの一つである「大腸がん」。 「もしかして?」と不安を感じている方や、検診で指摘を受けた方に向けて、大腸がんの基礎知識から最新の治療法まで、消化器内科の視点でわかりやすく解説します。

●大腸がんとはどのような病気か

大腸がんは、大腸(結腸・直腸・肛門)の表面にある「粘膜」から発生するがんです。 長さ約1.5〜2mある大腸のうち、日本人では特にS状結腸(便がたまるところ)と直腸(肛門の直前)にがんができやすいことが知られています。

がん発生の2つのメカニズム

大腸がんの発生には、主に2つのルートがあります。
〇ポリープからの進行(腺腫-がん関連)
・・・良性のポリープ(腺腫)ができ、それが時間をかけて大きくなる過程でがん化するタイプ。最も多いパターンです。
〇正常粘膜からの発生(デノボがん)
・・・ポリープを経ずに、正常な粘膜から直接がんが発生するタイプ。進行が比較的早い場合があります。

進行するとどうなる?

発生したばかりのがんは粘膜の表面にとどまっていますが、進行すると大腸の壁の奥深くへと根を張っていきます(浸潤)。さらに進むと、以下のような転移を起こす可能性があります。
・リンパ節転移: リンパ液の流れに乗って広がる
・血行性転移: 血液に乗って肝臓や肺へ広がる
・腹膜播種(ふくまくはしゅ): がんが壁を突き破り、おなかの中に種をまくように広がる

●見逃さないで!大腸がんの「症状」

早期がん:自覚症状はほぼありません

大腸がんの恐ろしい点は、「早期の段階では痛みも出血もないことがほとんど」という点です。 「元気だから大丈夫」「どこも痛くないから」と安心せず、定期的な検診を受けることが唯一の発見方法です。

進行がん:注意すべき危険サイン

がんがある程度の大きさになると、以下のような症状が現れます。特に血便には注意が必要です。
・血便・下血: 便に血が混じる、便の表面に血がついている。
・便通異常: 下痢と便秘を繰り返すようになった。
・便柱細小化: 便が昔より細くなった(がんが腸を狭くするため)。
・残便感: トイレに行った後も、すっきりしない(特に直腸がん)。
・腹部症状: おなかの張り、腹痛、しこりを感じる。
・全身症状: 貧血(めまい・立ちくらみ)、原因不明の体重減少。

【重要】痔だろうという自己判断は危険です

血便が出た際、どうせ痔だろうと放置してしまう方が非常に多くいらっしゃいます。しかし、痔だと思っていたら実は進行した直腸がんだった、というケースは後を絶ちません。出血があったら、必ず専門医を受診してください。

●なぜなるの?大腸がんの原因とリスク

大腸がんは、生活習慣の積み重ねが大きく影響すると考えられています。

生活習慣によるリスク(環境要因)

欧米化した食生活や生活スタイルがリスクを高めます。
・食生活: 赤身肉(牛・豚・羊)や加工肉(ハム・ソーセージ)の過剰摂取
・アルコール: 過度な飲酒
・喫煙: タバコを吸う
・体型: 肥満
・運動: 運動不足

遺伝的要因

家族や親族に大腸がんの患者さんがいる場合、リスクが高くなる傾向があります。特に以下の遺伝性の病気がある場合は注意が必要です。
・家族性大腸腺腫症(FAP): 大腸に無数のポリープができる
・リンチ症候群: 遺伝的に大腸がんをはじめとするがんができやすい

今日からできる予防法

以下の習慣を取り入れることで、大腸がんのリスクを下げることが科学的にわかっています。
・食物繊維を摂る: 野菜、果物、海藻類、きのこ類を積極的に食べる。
・運動習慣: ウォーキングなどの適度な運動を続ける。
・節酒・禁煙: お酒は控えめにし、タバコはやめる。
・加工肉を控える: ベーコンやハムなどは食べすぎない。

●早期発見のカギ「大腸がん検診」

40歳を過ぎたら、年に1回の検診が強く推奨されます。

便潜血検査(検診)

多くの自治体や職場で行われている、最も基本的な検査です。
・方法: 2日分の便を採取し、目に見えない微量の血液が混じっていないかを調べます。
・メリット: 食事制限がなく簡単で、費用も安く、体への負担がありません。
・注意点: 陰性だから100%がんではないとは言い切れませんが、毎年受けることで死亡率を下げることが証明されています。

「要精密検査」と言われたら?

便潜血検査で陽性(+)が出た場合、必ず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてください。 「一度だけ陽性だったけど、二度目は陰性だったから大丈夫」と自己判断するのは間違いです。痔からの出血か、がんからの出血かは、カメラで見ないと判別できません。

●確定診断のための検査

大腸がんが疑われる場合、以下の検査を行います。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察します。
・特徴: ポリープやがんの色や形を直接確認できます。
・組織検査: 怪しい病変があれば、その場で組織の一部をつまみ取り(生検)、顕微鏡で詳しく調べることができます。
・治療: 小さなポリープや早期がんであれば、検査中に切除することも可能です。

その他の画像検査(進行度の確認)

がんと診断された場合、どのくらい広がっているか(ステージ)を調べるために行います。
・CT検査 / MRI検査: 肝臓や肺への転移、リンパ節の腫れなどを調べます。
・PET検査: 全身のどこにがんがあるかを一度に調べます。

● 病期(ステージ)と治療方法の選択

治療方針は、がんの進行度(ステージ0〜IV)と、患者さんの体力や希望を総合的に考慮して決定します。

① 内視鏡治療

対象:ステージ0〜Iの一部(ごく早期のがん) 内視鏡を使って、おなかを切らずにがんを切除します。
・ポリペクトミー: キノコ型のポリープを切り取る。
・EMR / ESD: 平坦ながんや大きな病変を、粘膜の下層から剥ぎ取るように切除する。

メリット: 入院期間が短く(日帰り〜数日)、体への負担が非常に少ない。

② 手術(外科治療)

対象:ステージI〜III、および一部のステージIV がんを含めた腸管と、転移の可能性があるリンパ節を切除し、腸をつなぎ合わせます。
・腹腔鏡手術 / ロボット支援手術: おなかに小さな穴を数カ所開けて行う手術。傷が小さく、術後の回復が早いのが特徴で、現在の主流になりつつあります。
・開腹手術: おなかを大きく切開して行う手術。大きな腫瘍や、高度な癒着がある場合に選択されます。

③ 薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬)

対象:再発予防(術後補助化学療法)や、切除不能な進行がん
・術後補助化学療法: 手術で取りきれなかった目に見えない小さながんを叩き、再発を防ぎます。
・進行・再発がんの治療: がんの進行を抑え、生存期間を延ばす、あるいは症状を和らげるために行います。近年は、がん細胞の特徴に合わせた分子標的薬などの登場により、治療成績が向上しています。

④ 放射線治療

対象:主に直腸がん
・術前照射: 手術前にがんを小さくし、肛門を残せる可能性を高めたり、再発率を下げたりするために行います。
・緩和照射: 骨への転移による痛みや、脳転移による症状を和らげるために行います。

最後に:早期発見なら、恐れる必要はありません

「がん」と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、大腸がんは早期に見つかれば9割以上が完治すると言われています。また、進行して見つかった場合でも、医療の進歩により、治療しながら長く生活できるケースが増えています。
・症状がないうちから検診を受けること。
・血便、便通の変化などのサインを見逃さないこと。
・恥ずかしがらずに、消化器内科を受診すること。

この3つが、あなたとあなたの大切な家族を守ります。 少しでもおなかの調子で気になることがあれば、お早めにご相談ください。