がんの可能性が高くなる大腸粘膜の一部がいぼ状に盛り上がったものです。
大腸ポリープの80%は腺腫と言われています。腺腫とはがんと同じように粘膜表面の腺細胞が異常をきたして増殖したものです。
大腸ポリープの大部分を占める腺腫は、長期間放置しておくと悪性化する可能性が高くなります。大きくなればなるほど悪性になりやすいので、大腸ポリープはある一定の大きさ以上になると切除が勧められます。
まれに正常の大腸粘膜から直接発生するデノボがんという経路もあります。
デノボ癌は、平坦陥凹型癌であることが多いとされています。早期に浸潤する悪性度が高いがんという特徴があります。
大腸がんの危険因子としては、
・年齢(50歳以上)
・大腸がんの家族歴
・高カロリー摂取および肥満
・過量のアルコール
・喫煙 などがあります。
・腫瘍性大腸ポリープ(悪性度の強いポリープ)は6mm以上の大きさになると、5mm以下の病変と比較してがんの頻度が高くなります。また大腸腺腫とがんの鑑別が困難であることから内視鏡的摘出術が強く推奨されています。
5mm以下の病変でも、平坦陥凹型病変で、腫瘍およびがんとの鑑別が困難な病変は内視鏡的摘除が望ましいとされています。
・非腫瘍性大腸ポリープ(悪性ではないポリープ)は、過誤腫ポリープ、炎症性ポリープ、過形成ポリープに分類されます。腫瘍性ポリープと比較するとがん化の可能性は低いため、通常は経過観察でよいと考えられています。出血や腸重積の原因となる場合や、腺腫やがんなどと鑑別が困難な場合は切除の適応となります。
・職場の健診や市町村の健康診断で便潜血検査を定期的に受ける
便潜血陽性で一度でも陽性になった場合は必ず大腸検査を受けましょう。
また、潜血検査は毎年受けることで、大腸がんの早期発見、早期治療に繋がります。定期的な健診をお勧めします。
40歳を過ぎたら大腸内視鏡検査を受けてみましょう
大腸がんは早期がんの状態だとほとんど自覚症状がありません。大腸癌は40歳を境に、死亡率が急上昇します。特に最近は、便潜血に反応しにくい平坦陥凹型癌が増加しています。40歳を超えたら、大腸内視鏡検査を受けてみるといいでしょう。
悪性の腺腫段階や早期がんのうちに治療すれば、がんは予防出来、がんになってもほぼ100%完治可能です。
逆に何らかの自覚症状がでた場合には、最低約20%の割合で多臓器に転移しており、治療は非常に難しくなります。
ここ数年、胃がんの患者さんが減少傾向にあるのに対して、大腸がんの患者さんは急増しています。
大腸がんの患者さんが急増している原因は、食生活の欧米化や運動不足、喫煙、そして、胃の検診に比べて大腸検診を受ける人が少ないことなどが考えられています。
禁煙、節酒を行い、食べ過ぎを避け、食物繊維の摂取や適度な運動を心がけることが大切です。