消化管(口~肛門)に炎症を起こす病気で、主に若年者に見られます。小腸と大腸、特に回腸末端が好発部位で、腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。
遺伝的な要因、ウイルスや細菌による感染、免疫異常など推測されていましたが、最近では免疫系の異常が考えられています。
病気のおこる場所により症状は異なりますが、腹痛と下痢が半数以上の患者さんでみられます。その他発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、倦怠感、貧血などもあります。また瘻孔、狭窄、膿瘍など腸管合併症、関節炎、虹彩炎、結節性紅斑、痔ろうなどの腸管外の合併症もみられることがあります。
主に症状や血液検査、内視鏡検査、病理検査などで行われます。小腸の観察にカプセル内視鏡を施行する場合もあります。
栄養状態の改善、腹痛や下痢などの症状の改善を目指します。栄養療法には経腸栄養と完全中心静脈栄養(点滴)があります。経腸栄養療法は、アミノ酸を主体として脂肪をほとんど含まない成分栄養剤と少量のタンパク質と脂肪含量がやや多い消化態栄養剤があります。完全中心静脈栄養は腸管に高度な狭窄がある場合、広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない場合などに用いられます。
内服(5-ASA製剤、ステロイド、免疫調整薬)や点滴、透析(血球成分除去療法)などがあります。狭窄に対しては内視鏡で拡張する治療をすることがあります。
高度の狭窄、穿孔(穴があくこと)、膿瘍形成などあれば手術が行われます。
以前は手術することも多かったのですが、最近の治療の進歩により手術することは減ってきています。しかし症状がなくても病気が進行することもあり、定期的に検査することが重要です。