はら内科医院 内科・内視鏡内科・消化器内科・肝臓内科

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脂肪肝

脂肪肝(しぼうかん)とは?症状・原因・改善方法を解説

 健康診断で「肝機能の数値が高い」「脂肪肝の気がある」と言われたことはありませんか? 脂肪肝は、放置すると肝硬変や肝がんへと進行する可能性がある病気ですが、早期に対策を行えば改善が十分に可能な病気でもあります。

●脂肪肝とはどんな状態?

 簡単に言えば、「肝臓がフォアグラ状態になっていること」です。
肝臓は、食事で摂った栄養をエネルギー(中性脂肪など)に変えて貯蔵する役割を持っています。しかし、食べ過ぎや運動不足によって、「入ってくるエネルギー」が「使うエネルギー」を上回ると、余った脂肪が肝細胞の中にどんどん溜まっていきます。医学的には、全肝細胞の30%以上に脂肪がたまっている状態を『脂肪肝』と定義します。
肥満の方(BMI25以上): 皮下脂肪や内臓脂肪だけでなく、肝臓にまで脂肪が溢れている状態です。肥満の方の20〜30%に脂肪肝が見られます。
・痩せている方(隠れ肥満): 「太っていないから大丈夫」ではありません。見た目は痩せていても、内臓や肝臓に脂肪がつく「隠れ脂肪肝」の方も増えています。

●自覚症状はありますか?

 残念ながら、初期段階ではほとんどありません。 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなりのダメージを受けるまで痛みや不調を出さない我慢強い臓器です。
「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないのに診断された=肝臓が悲鳴を上げる一歩手前」と捉えることが重要です。倦怠感(だるさ)や食欲不振を感じる頃には、かなり進行している可能性があります。手遅れになる前に、数値で判断して対処することが大切です。

●なぜ脂肪肝になるの?(原因と分類)

脂肪肝は大きく分けて、「お酒の飲み過ぎ」によるものと、「生活習慣の乱れ」によるものに分類されます。

①アルコール性脂肪肝
お酒(アルコール)の過剰摂取が原因です。 アルコールは肝臓で解毒されますが、その過程で中性脂肪が合成されやすくなります。
・目安量: 毎日、日本酒3合以上(ビール大瓶3本、ウイスキーダブル3〜4杯相当)飲む人の多くに見られます。
・リスク: 一部は『アルコール性脂肪肝炎(ASH:アッシュ)』へと進行します。これは肝臓が炎症を起こして細胞が壊れている状態です。そのまま飲み続けると、肝硬変や肝がんへ進行する危険性が極めて高くなります。

② 非アルコール性脂肪肝(NAFLD/MASLD)
お酒をあまり飲まない(または全く飲まない)のに発症する脂肪肝です。 近年、世界的に「MASLD(マッスルディー:代謝異常関連脂肪性肝疾患)」という新しい病名でも呼ばれるようになり、注目されています。
・主な原因: 肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病。
・メカニズム: 運動不足や過食により、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の効きが悪くなると、肝臓に脂肪が蓄積されやすくなります。
・痩せていても注意: ファストフード、お菓子、清涼飲料水(果糖)の摂りすぎで、体重が2〜3kg増えただけでも肝臓に脂肪がつくことがあります。

【重要】お酒を飲まなくても進行します

 以前は「お酒を飲まない脂肪肝は進行しない」と思われていましたが、現在では『非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ/MASH:マッシュ)』と呼ばれる、進行性のタイプが存在することがわかっています。 日本ではすでに100万人〜200万人以上がこのNASH(MASH)になっていると言われており、放置すると肝硬変・肝がんのリスクとなります。

●なぜ脂肪肝を放置してはいけないのか?

 「たかが脂肪肝」と軽く考えるのは危険です。脂肪肝は以下のように進行する「入り口」だからです。
1.単純性脂肪肝(脂肪が溜まっているだけ) ⬇ 炎症が続く
2.脂肪肝炎(肝細胞が壊れ、線維化して硬くなる) ⬇ 線維化が進む
3.肝硬変(肝臓が岩のように硬く小さくなり、機能不全になる) ⬇
4.肝がん(生命に関わる状態)
また、脂肪肝があると、心筋梗塞や脳卒中など、血管の病気のリスクも高まることがわかっています。

●診断方法

 当院では、以下の検査を組み合わせて総合的に診断します。
〇血液検査
・ALT(GPT)・AST(GOT): 肝細胞が壊れていると上昇します(目安:50〜100以上)。
・γ-GTP: アルコール性や胆道の異常で上がります。
・コリンエステラーゼ: 栄養過多による脂肪肝で上昇しやすい数値です。
・ウイルス検査: B型・C型肝炎ウイルスなどが隠れていないかも確認します。
〇腹部超音波検査(エコー)
痛みはありません。脂肪が溜まった肝臓は、画像上で白っぽく輝いて見えます(Bright Liver)。
  

●脂肪肝の予防と改善方法(治療について)

 幸いなことに、肝臓は再生能力が高い臓器です。軽い脂肪肝や炎症の初期段階であれば、生活習慣を変えることで元の綺麗な肝臓に戻すことができます。
特効薬を飲むことよりも、以下の「食事・運動・休息」が治療の柱となります。
① 食事療法:肝臓をいたわる食べ方
・アルコール性の方(ASH): 禁酒が最大の治療です。お酒を断つと、腫れていた肝臓が驚くほど速やかに改善します。まずは「休肝日」を作ることから始めましょう。
・非アルコール性の方(NASH/NAFLD): 低カロリーで栄養バランスの良い食事を心がけます。
減らすもの: 糖質(ご飯、パン、麺類)、果糖(ジュース、果物の食べ過ぎ)、揚げ物。
増やすもの: 食物繊維(野菜、海藻、きのこ)、良質なタンパク質(大豆製品、魚、鶏肉)。

② 運動療法:脂肪を燃やす
・有酸素運動: ウォーキング、軽いジョギング、水泳などを1日20〜30分程度、週3回以上行うのが理想です。
・筋肉をつける: スクワットなどで下半身の筋肉をつけると、基礎代謝が上がり、肝臓の脂肪が燃えやすくなります。
・目標: 現在の体重の7%を減量するだけで、肝臓の脂肪や炎症が劇的に改善するというデータがあります。

③ 定期的な受診
自覚症状がないからといって通院をやめてしまうのが一番のリスクです。 定期的に血液検査やエコー検査を受け、肝臓の状態(線維化が進んでいないか等)をチェックしましょう。

院長からの一言

脂肪肝は「現代の国民病」とも言えますが、決して侮れない病気です。しかし、生活習慣を少し見直すだけで、肝臓は必ず応えてくれます。 「健康診断で指摘されたけれど、どうすればいいかわからない」という方は、放置せずに一度ご相談ください。一緒に肝臓を休ませてあげる計画を立てましょう。