●潰瘍性大腸炎とは?
大腸の粘膜に炎症が起きて下痢や血便などの症状が現れる病気です。

病気の原因が解明されておらず現在は完治する治療法がない慢性的な病気です。現在のところ、潰瘍性大腸炎の原因は分かっていませんが、本来外敵に対して働く免疫システムが、自分の大腸を異常に攻撃している状態といわれています。ただし、治療を開始し早期から継続することで、症状を落ち着かせておくことが出来る期間(寛解期)を長く続けさせることが出来ます。
治療が不十分で病気が進行すると、大量に出血したり、腸管が破れるなど、重篤な状態になることがあります。
発症する患者さんの数は年々増加しており、15歳から35歳頃に診断されることが多いです。
●主な初期症状
・下腹部の違和感
・下痢

・便に血が混じる
●進行した場合の症状
・便に粘液や膿が混じる
・発熱
・腹痛
・体重減少
・貧血
さらに進行すると大腸だけでなく、心筋、膵臓、目、関節、皮膚などに影響が現れる場合もあります。
●診断方法
便の検査などで感染症がないかを調べます。そして内視鏡検査で潰瘍性大腸炎による特徴的な病変がないかを確認します。確定診断には、病変の組織を内視鏡で採取し、生検を行います。内視鏡では、初期の場合、粘膜全体が腫れて粘膜下の血管が見えにくく、ザラッとした質感になっており、軽く触れただけで出血を起こしやすくなっています。
潰瘍性大腸炎で長年年種を繰り返していると、大腸癌リスクが上昇するため、定期的な内視鏡検査は不可欠です。

●治療方法
薬物療法が中心となります。完治する内科的な治療はまだありませんので、炎症の抑制と症状のコントロールといった治療が中心になります。潰瘍性大腸炎は寛解期にも継続した治療を受けて寛解期の状態を継続させ、症状再燃を防ぐことが重要です。
●薬物治療
・ASA阻害薬
活動期の炎症を抑えます。寛解期にも再燃予防の効果が期待できるため、継続投与されます。使用するメサラジン(リアルダ・アサコール・ペンタサ)は副作用が少なく、継続投与による大腸癌リスク軽減効果も期待できます。
・副腎皮質ステロイド薬
炎症を抑える効果が高い薬剤です。強い症状がある場合にのみ使われます。
・抗TNFα受容体拮抗薬
免疫を調整して炎症反応を抑えます。点滴や皮下注射で投与します。
・免疫調節薬・免疫抑制薬
副腎皮質ステロイド薬が使えない場合に使用する薬剤です。
症状が増悪しており、薬物療法ではコントロールができない場合・・・
・血球成分除去療法
活動期に行う治療法で、異常に活性化した白血球を血液から除去する治療法です。この治療も連携病院をご紹介し、そちらで受けていただくことになります。
・手術療法
大腸の一部もしくはすべてを摘出することもあります。
●食事療法
・活動期・・・大腸粘膜に炎症が生じて症状が強く現れる時期
消化しやすく、高エネルギー・高たんぱく・低脂肪・低食物繊維の食事が基本
例)卵・大豆製品・脂肪の少ない肉類・魚
脂肪の多い食品・揚げ物は控える
香辛料などの刺激物、コーヒー、アルコール類、炭酸飲料や冷たい飲料は腸の粘膜を刺激するので控えましょう


・寛解期・・・症状が治まっている時期
基本的には厳密な食事制限は不要
暴飲暴食を避け、バランスの取れた食事を心がける
例)アルコールは少量に。コーヒーは薄ければ可能、カフェインを多く含む食品はなるべく控える
潰瘍性大腸炎は上記に記載あるように完治する治療法はまだなく、継続的に内服や治療が必要になってくる病気です。検査や治療も継続していくと医療費も嵩み、経済的理由から治療継続が困難となってくることもあります。そうなったとしても治療が継続できるように重症度に応じて国からの助成制度も活用できます。制度も複雑であり、わかりにくいところもあるので、受診された際や気になることがありましたらスタッフで対応していますので気軽にお尋ねください。